世間一般では簡単に取得できると言われている宅建試験。
一ヶ月の勉強で合格したとか、二週間で過去問だけで合格できたとか聞いたりしますが、いやいやそんなに甘い試験ではありません。
恐らく、法律関係の大学出身者であるとか不動産業界で仕事をしている人。または、宅建試験科目と共通の科目がある資格試験を過去に勉強したことのある人ではないかと思います。
初学者が宅建試験を突破するためには、それ相応の知識を頭に詰め込まなければならず、当然それなりの時間が必要になってきます。
私は、完全独学で市販の教材のみで合格しました・・・。
とは言っても二回ほど落ちました。
しかも、二回ともあと1点で・・・。
1点で落ちるというのは、とんでもなく悔しいもので(だったら二回目の時に合格しろよって話ですが)、三回目の挑戦の時には、確実に合格するには「何をどうすればいいか」とことん考えました。
二週間で合格するどころか、三年も掛かってしまったわけですが、一発短期合格した人よりは、長く宅建試験の勉強に携わった自慢にならない自負があります。
これから独学で受験する方へ、私が受験当時に思ったこと、考えさせられたことを惜しみなくお伝えしようと思います。
- 宅建は独学で合格可能なのか?
- 自分のフィーリングに合った教材を探す
- 一に過去問、二に過去問。三四も過去問、五に過去問
- 忘却との戦いは当然のこととして捉える
- 何が何でも1点にこだわる
- モチベーションの維持
- まとめ
宅建は独学で合格可能なのか?
結論から言います。
宅建試験は独学での合格は十分可能です。
宅建試験に合格するためには、科目ごとの重要ポイントをしっかり押さえることにあります。
重要ポイントをしっかり押さえるとは、過去に出題された問題そのものが重要ポイントとなりますので、過去問をしっかり理解して覚えることです。
書店に行くと宅建士に関するテキスト、過去問題集とも様々な種類のものが出版されており、一角を占めている状態です。
私は、資格の学校も通信講座も受講したことがないので、どのような教材を使用しているかは分かりませんが、市販のテキストについては、各予備校とも工夫を凝らして作成しているため、科目ごとの内容を理解するには充分ですし、過去問題集についても解説がしっかりしており、もし分からなければテキストで確認・理解すれば問題ありません。
この市販のテキストと過去問さえあれば、科目ごとの重要ポイントをしっかり押さえた対策を行うことにより、独学での合格は十分可能であると言えます。
しかも3年も掛けずに・・・。
私の三度にもわたる受験の経験を踏まえ、独学で合格するために重要なこと五つを掲げてみました。
①自分にあった教材を探す
②過去問を制するとは過去問を覚えるのではなく理解すること
③忘却との戦いは当然のこととして対策を講じる
④最後は1点にこだわる
⑤モチベーションを常に維持する
見てのとおりそのままです。
合格後に、「合格するために重要なことって何なんだろう」と受験中を振り返った時に出てきたものです。
当然のようなことばかりですが、意外と分からずに勉強にだけ没頭している人が多いのではないでしょうか。
特に、1点、2点で合格を逃している人は、今一度確認してみてはいかがでしょうか。
では、行きます。
自分のフィーリングに合った教材を探す
テキスト編
テキストとは、いわゆる「基本書」です。
書店には様々な種類のテキストが並んでいます。自分の手に取り、文字の大きさ、紙の色、紙の質など必ず中身を確認して、最も自分のフィーリングにあったテキストを見つけましょう。比較的大手で出版しているものであれば、内容的にさほど大差はないものと思います。
「良いテキスト」とは、合格した人が、自分の使用したテキストを「良いテキスト」と宣伝しているだけで、あくまでも個々の見解、個人の好みによるものです。実際に書店に行って自分の目で確かめて購入することをお勧めします。
因みに、テキストを購入せず、過去問のみで合格を狙う人がいますが、確実に合格を狙うためには論外です。詳しくは後述しますが、テキストは必ず購入しましょう。
過去問編
合格するために一番重要なアイテムです。
合格できるか合格できないかは、この過去問に掛かっています。
何回も何十回も見直すことになりますので慎重に選びましょう。何度も見直しするからこそ、テキストと同じように自分のフィーリングに合うものを選びたいところです。
過去問には、大きく分けて分野別と年度別があります。分野別と年度別ではそもそもの使い方が違うのですが、一つの科目に特化して解くという理由から分野別をおすすめします。
年度別は、一通り勉強した人が時間配分を考えるために使用したり、既に何度か受験していて年度ごとに問題をこなしたいという人向けで、初学者の方は分野別の方がいいでしょう。
また、問題と解答解説が見開きになっているものとそうでないタイプのものがありますが、見開きになっているものがおすすめです。
見開きになっていないというのは、問題が右ページにあり、捲った左ページに解答・解説がついているものです。
見開きになっていると、問題を解くときに右ページの解答が目に入ってしまうという方もいますが、手で覆うなりして工夫すればよいことです。仮に見えたとしても内容を理解することが目的ですので、特に気にする必要もありません。ページを捲って解答解説を確認する方が見にくくてしょうがありません。
以上から、過去問は、分野別で見開きタイプ、しかも10年分以上の過去問が掲載されているものをおすすめします。何れにしても、過去問題集を選ぶ際には、予め焦点を絞っておいて選んだ方がいいでしょう。
私が、合格時に使用した過去問題集について記事にしていますので、もし宜しければ覗いてみてください。
余談になりますが、予想問題集やオリジナル問題集というものがあります。「予想」という言葉に惹かれ購入したくなるでしょうが、まずは過去問をこなして余力があったら取り組みましょう。
一に過去問、二に過去問。三四も過去問、五に過去問
「過去問を制する者が合格を制する」
よく耳にする言葉です。
それほど過去問は重要ですし、過去問を一度もやらずして合格は難しいです。しかし、過去問をほぼ完璧に仕上げたつもりでいたのに、1点差で合格できなかった経験を二度もした私は、この意味を履き違えていたことに気付きました。
「過去問を制覇する」とは「過去問を正解できる」ことではなく「過去問の内容をしっかり理解する」ということなんです。
過去問を何度か回していると解答を覚えてしまいます。いわゆる過去問を右から左へ流しているだけの状態です。すると、同じ論点で設問されていても、ちょっと言い回しが違ったり、角度を変えた問題に対して応用が利かなくなってしまいます。
「何度も受験しているが、1点、2点で合格を逃してしまう」
「毎回30点越えはするけど合格に手が届かない」
というのは、やはり過去問に対する理解が伴っていないということです。
では、理解するためにはどうすればいいのでしょう。
簡単です。
過去問題集のみで勉強しようとせず、テキストに目を通すことで理解することです。
あなたのテキスト、机の角でお飾りとして立ちっぱなしではありませんか。
勉強方法としてはすごく簡単で、単元ごとにテキストを読み、その単元の過去問を解く。分からなければテキストに戻って理解する。
これを淡々と繰り返します。
テキストを読まずして過去問のみで短期合格を目指すよりも、テキストと過去問で往復しながら覚えた方が効率よく勉強でき、理解することによって忘れにくくもなります。
小学校、中学校の時を思い出して下さい。教科書を勉強してから問題集を解くというあの基本スタイルと同じです。
忘却との戦いは当然のこととして捉える
「えー、勉強したはずなのに全く覚えてない。」
この現象、よくあります。
慣れない法律用語が多いのでなおさらです。
試験勉強を続けていると常に忘却との戦いに悩まされます。一週間前にやったことですら忘れています。一ヶ月前に勉強したことなんか見た記憶すらないこともあって自信喪失になります。
人間は忘れる生き物なので、しょうがないことのようで、「エビングハウスの忘却曲線」とか何とか・・・(キリがないので割愛させて頂きます)っていうのがあります。
要は、勉強のサイクルを早くする以外にないということです。勉強した過去問を一週間後、出来れば2~3日以内にもう一度見直しできれば記憶の定着が図れます。
そういう意味でも、週末にまとめて勉強するよりも、毎日コンスタントに勉強した方が最終的には効率よく勉強する方法でもあります。
仕事や生活環境上、週末しか勉強時間が取れないという方もいると思いますが、隙間時間を有効に活用するなど工夫して勉強しましょう。
何が何でも1点にこだわる
私は、試験勉強期間を「初期」「中期」「終期」に分けて勉強していました。
「初期」~全科目についてテキストを読んで過去問をこなし、分からなければ基本書に戻って確認。
「中期」~過去問を回すことに重点を置き、分からないところがあればテキストに戻る。その際、「終期」もしくは試験間際には何に重点を置いて勉強をするかを考えながら取り組む。
「終期」~今まで勉強したことの総まとめ。
という感じです。
ただ漫然とやっていてもメリハリがありません。計画的にという大袈裟なものでなくても大雑把で構わないので、区切りや段階をつけることでモチベーションを維持するためにも良いかと思います。
私は、「終期」段階に入った頃から、とにかく1点にこだわるようにしました。
具体的に言えば、一年目、二年目の時に、少しあやふやに理解していた借地借家法について、三年目の時には「しっかり理解することで必ず得点できる科目だ」と思い、徹底的に理解することで2点いただくことができました。
大概この「終期」段階までくると、40点越えは確実で楽勝という人もいれば、苦手な科目を後回しにしたために、まだ手を付けていない科目があったりして焦る人もいるでしょう。
しかし、何れの人も「あと1点」、できれば「もう1点」と1点にこだわって勉強して下さい。
40点越えできそうな楽勝な人は、「あともう1点取れるところはないか」「40点以上取れるからと統計問題を疎かにしていないか」今一度振り返って確認して下さい。
まだ手を付けていない科目があり、焦りを感じ始めてきた人は、この状況で「あと1点確実に取れる科目はないのか」と試験直前まで1点にこだわって下さい。
モチベーションの維持
「なぜ、自分は宅建資格を取るのか」
受験するにあたり一番大事なところです。
・自己啓発で宅建取得を目指す人
・職場で宅建資格を余儀なくされている人
・資格取得で開業を考えている人
受験に至った経緯は人それぞれです。「なぜ宅建試験受験を決意したのか」今一度自分に問いかけて下さい。
あまり重く捉える必要のないことかもしれませんが、この宅建取得が、今後の自分の将来に大きく左右されるという方も少なくないでしょう。
受験の目的は別にしても、再受験の方の中には何度受けても合格できず、どうしても今回の受験を最後にしたいという方もいるでしょう。
「受験の目的」を再確認したら
「自分は、絶対に合格するという強い気持ち」を再確認したら
それをモチベーションにしてとことん頑張って下さい。
まとめ
・テキスト、過去問とも自分のフィーリングにあった教材を選びましょう。過去問は分野別で見開きタイプ、10年分以上が掲載されたものがおすすめ。
・過去問を制するとは、過去問を理解すること。過去問を右から左へ流すのではなく、分からないところはテキストで確認して内容を理解しましょう。
・忘却との戦いは当然のこと。勉強のサイクルを早め、隙間時間を活用するなど工夫して勉強しましょう。
・あと1点稼ぐには何をすればいいか。特に、試験直前になったらもう1点得点するためにはどの科目に力を入れるかを常に考え、1点にこだわった勉強をして下さい。
・自分の「受験の目的」は何であるか。その「受験の目的」を再確認したら、それをモチベーションとして合格目指して頑張って下さい。
以上、宅建試験合格に重要だと思うこと五つについて説明させて頂きました。
最終的には、受かるも落ちるも自分次第です。
宅建試験を独学で受験される方の少しでも参考になれば幸いです。
合格目指して全力で頑張って下さい!